ご無沙汰しております。
うかうかしている間に前回の更新から随分間があいて、はや9月も中旬になってしまいました。
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週刊俳句 Haiku Weekly: 週刊俳句 第282号
に、「8月の俳句を読む」を掲載いただいております。
タイトルは編集部で付けてくれたみたいですね。
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俳句ラボ、9月の当番は私です。
俳句ラボ ~若い世代のための若い講師による句会~
柿衞文庫の也雲軒では、若い世代の人たちの句会を開催します。1年間の成果は作品集にまとめる予定です。ぜひお気軽にご参加ください。
・日 時:毎月最後の日曜日 午後2時~(詳細は下記の日程をご覧ください)
・場 所:公益財団法人 柿衞文庫
・講 師:塩見恵介さん、中谷仁美さん、杉田菜穂さん、久留島元さん
・参加費:1回500円
・対 象:15歳以上45歳以下の方
・日 程
第4回:9月30日(日)・・・袋回しを行います。袋回しのルールを知らない人でも参加可能です。準備はいりません。
筆記用具と、できれば「歳時記」をご持参ください。
ともかくその場で、即席で俳句を作ります。まぁ、やってみりゃわかります。
ご都合の合う方は是非ご参加ください。
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昨日は、たまたま作業が一段落したところだったので、大阪で行われました「川柳カード・創刊記念大会」にお邪魔してきました。
「川柳カード」は、樋口由紀子さんが代表、小池正博さんが編集をつとめる川柳誌。
(参照:週刊「川柳時評」:川柳カードをどう切るか)
系譜としては、「バックストローク」の後継誌ないし系列誌、という位置づけでよいのかな。
2012年7月に、創刊準備号として「0号」が発刊され、実はまだ創刊号=1号は刊行されていないのですが、創刊されていない雑誌の創刊記念大会というのも、なかなか面白くていい。
さて、今回の「創刊号記念大会」は2部仕立て。
第一部は、池田澄子×樋口由紀子のトークショー。
第二部は、川柳大会。
兼題が「脈」「すれすれ」「ピーマン」「割る」「品」、事前投句題「カード」の6題で、それぞれ2句ずつ出句。
当日は私のような飛び入り参加も少なくなかったようで、100人を超える参加者(主催者発表109人、水滸伝より一人多い)が参集。用意された席がすべて埋まり、補助椅子が導入される事態に。
ちなみに当日の選者には「川柳塔」や「琵琶湖番傘」など、いわゆる「伝統系」に所属している方もおり、川柳シーン全体においても、たいへん期待された「創刊」だ、ということがよくわかるわけです。
さて、開会宣言で樋口さんは、
川柳をはじめて30年になりますが、いまだにわからないことがあります。それは、川柳とは何か、ということ。その問いを、もっと考えていきたい。
川柳カードは、1年おきか2年おきか、このような大会を開いて、他ジャンルの人を招いて話を聞くことにしたい。川柳のなかだけでは見えないことが、他ジャンルとの比較のなかで見えてくることがある。
と述べ、「由紀子の部屋」第一回ゲストに「他ジャンルにも人気のある」池田澄子さんを紹介した。
池田さんとのトークショーでは、ふたりの「俳句」「川柳」との出会いから、それぞれの師匠(池田澄子-三橋敏雄、樋口由紀子-時実新子)との関係、師匠の言葉、池田さんの思う「川柳っぽい自句」の、なにが「川柳ぽい」のか、などなど、川柳と俳句との境界をめぐってさまざまなトークが交わされた。
トークの最後のほうで、川柳の句会初体験の池田さんが俳句の句会との違いにびっくりしていたのが興味深かった。
川柳句会のルールは、俳句作家はたいてい驚くが、まずそれぞれの「題」に一人ずつ「選者」が付く。そして選者が、投句された中から何十句も「抜く」(選句)する。選者は撰んだ句を「披講」する。読み上げられると作家が名乗りし、次の句の披講に移る。ここには「合評」の入り込む余地がない。ここが違うところだ。
川柳の場合は「抜」かれない句はそのまま消える。したがって、川柳人は基本的に「抜かれる」ために句を作ることになる。
ところが、池田さんは句会には「自信のある句は出さない」のだという。そして句会に出すのは自分だけでは判断に迷う句であり、自句の欠点を聞くために出席するのだという。
池田さんのように「自信のある句は出さない」「自分の欠点を聞きに行く」とまで思うのは極端にしても、句会で実験作を出して主宰や周囲の反応を伺う、というのは、俳句界ではごく日常的であると思う。
二人のトークでは、この句会形式を通じた、「句との接し方」が、川柳と俳句との一番の違いなのでは、というあたりで時間切れとなり終了した。
話の流れでオチがついたとはいえ、句会形式のありかたというのは確かにジャンルの性格を形成する大きな側面だろう。
(というか、そもそも「句会」という形式で文芸を楽しむこと自体が大きな特徴だ)
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大会の詳細については、おそらく川柳プロパーの側からのまとめも出るだろうし、なにより「川柳カード」創刊号で述べられるはずなのでこのへんで。
なるほど、川柳句会ってそのようにするのですか。私も池田さんと同じく自信のある句は、句会には出しません。(賞に応募するために取っておきます)
返信削除追伸 船団のホームページでドクターに就任されたのですね!どのような選句をされるのか、注目しています。
>海音さま
返信削除いつもコメントありがとうございます。
池田さんが「自信のある句は句会に出さない」のは、他人の評価を聞く必要がないから、ということだそうです。他人がどうあれ自分は自信をもって変えるつもりがない、ということで、べつに公開しないとか出し惜しんでいるという意味ではないわけです。
川柳句会については、「詩客」で湊さんが詳細にご紹介されていますので、ご参照ください。
船団ドクター、身に余る大任ですが、ご笑覧いただければと思います。