「船団」が2019年に「散在」して以後、定期的に作品発表する媒体は持っていないのですが、ありがたいことに今年もいくつか俳句関係でお仕事をいただきました。
句作のほうは、メール句会を中心に活動しています。句数はかえって多いくらいですが、出来は当たったり外れたり。
一番大きかったのはなんといってもNHK俳句誌で特集記事を担当させてもらったこと。
「異界を詠む 妖怪と俳句の世界」ということで、妖怪、お化け、幽霊など、目に見えない世界のモノと日本人がどうつきあってきたのか、歴史を溯り、古代中世の認識から現代俳句までを関連づけ、例句をあげながら概観しました。
解説、年表などはすべて久留島の文責に拠りますが、編集担当さんと何度も電話で打ち合わせし、NHK俳句の誌面に相応しい企画になるよう推敲を重ねたので、よい経験になりました。図版など、こちらからはもっといろいろな絵を提案したのですが「不気味すぎる」などの理由で却下されたものも多かった、とこっそり暴露しておきます(それでもネット上で絵が怖すぎるとの批判を目にしました、たぶん私はお化け絵に慣れすぎて麻痺しているのでしょう)。
NHK 俳句 2021年 8月号 [雑誌] (NHKテキスト) NHK出版 日本放送協会
amazonなどではまだ購入は可能なようなのでよろしければどうぞ。
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坪内稔典さんのブログ「窓と窓」で、何度か作品を掲載してもらいました。
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「船団」会員作品をあつめた『あの句この句 現代俳句の世界』創風社出版、が5月に刊行。
日本は妖怪の国春の川 久留島元
蚊柱は奇術師たちの墓の上
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「天狼を読む会」研究会は、オンラインで継続中。
次回は2022年1月15日(土)13:30~の予定です。ご関心のある方は亭主まで。
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おなじみ、「週刊俳句」にも記事を一本書かせてもらいました。
【週俳7月9月10月の俳句を読む】 俳諧徘徊 久留島 元 週刊俳句 Haiku Weekly 第762号
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久留島の仕事とはまったく関係ないのですが、今年は待ちに待った句集の刊行が、続々。
まずは、杉浦圭祐さんの『異地』邑書林。
数年前から準備している準備していると聞きながら出ていなかった杉浦さんの第一句集。
滝を見し者より順に声あぐる 杉浦圭祐
ざり蟹の諸手を挙げて運ばるる
木田智美『パーティは明日にして』書肆侃侃房。
関西で句会をともにしてきた、またKuru-Coleにも参加してくれている木田さんの、商業出版としてははじめての句集。歌集が多い出版元から出たというのも、俳句の枠組みとは違う発想をもつ彼女らしくて素敵です。
ラズベリータルト晴天でよかった 木田智美
妊娠の蜥蜴を這わせれば重し
塩見先生の「船団」時代を総括する句集、『隣の駅が見える駅』朔出版については記事を書かせていただきましたので省略。
まさかの同時刊行となった堀田季何さんの『星貌』邑書林、『人類の午後』邑書林。
さまざまな詩型を横断し、国境も自在に飛びこえる堀田さんらしくさまざまな詩的実験にあふれた句集ですが、どちらもなぜか無理なく調和し、成立しているところが不思議で魅力的です。
破調で切れっ端のような句や、長律の連作を続けて詩として味わいたいようなものもあり、また別に句の力を感じるものもあり、諷刺として直截すぎると思うものもあり、次々と「読ませる」句ばかりでかえって一句を選ぶのが難しいのですが、読後、なんともいえぬ刺激で(句を創らなくては)という気にさせられた句集です。
しはぶきて蛇や砂より砂を吐く 堀田季何 『星貌』「亞刺比亞」
ぐわんじつの防弾ガラスよくはじく 『人類の午後』
年末になって相子智恵さんの第一句集『呼応』左右社が刊行。
相子さんとはNHK-BS俳句王国という今はなき番組でご一緒したご縁があり、そのときの放送回は10年前、東日本大震災の影響でしばらく延期になった、という思い出があります。
相子さんは、当時から若手には珍しい大ぶりで豊かな句を書かれる本格的な作家として衆目の期待するところでした。
紙媒体のみで発表した第一回Kuru-Coleにもご参加いただいたりしたのですが、このたび、本当に待望の句集を刊行され、作品をまとめて見られるようになったのは本当に嬉しい。
群青世界セーターを頭の抜くるまで 相子智恵
年末ぎりぎり、ラストを飾ったのは西川火尖『サーチライト』文学の森。
第11回北斗賞受賞。そしてKuru-Coleには二度にわたって参加いただいた作家。間違いなく、これからどんどん目にする機会が増えるでしょう。
子の問に何度も虹と答へけり 西川火尖
みなさま、おめでとうございました。
来年もよい俳句に出会えますように。
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