『301 ダダダダウッピー』vol.2(象の森書房)は、俳句・短歌を共通言語としてダンサー、画家、生物学者、ミュージシャンなどさまざまなメンバーが集まって活動するワークショップ301がまとめた作品集第2弾。
301の世話人である山本真也は画家であり、「氷室」「船団」で活動する俳句作家でもある。目にとまったいくつかの句・歌を紹介する。
泉より石のいろいろ見えてきて 鈴木春菜
それぞれの道へ別れた友達が僕の京都の半分だった 山口凜
松虫やさよなら清涼飲料水 嵯峨実果子
うな垂れた分だけ飲めるコカ・コーラ 中村公
夏院試時間切迫何故勃起 山口優輔
オカリナを沈める清流夏が行く 植田かつじ
飯蛸や母の子どもが集う日の 工藤惠
闖入し餓鬼やはらかに氷柱盗る 石川凍夜
吾輩は全ての屋根の主である 山本真也
ここからは地獄の沙汰もすみれ草 宇都宮さとる
workshop 301
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『エンドロール』(青磁社)は、朝日泥湖の第二句集。
朝日泥湖は1940年生まれ、「船団」句会の長老のひとり。以前は朝日彩湖という俳号で句集『いけず』(青磁社、2007)があるが、句集刊行後改名したので、今のところ別名義で1冊ずつということになる。
普通の町普通のくらし風光る
おぼろ月ラップかけずにチンをする
さくらさくらあんた何人殺めたの
また負けた風船飛ばしてあげたのに
話したいんだ、六月の大きな樹
サバンナの風は遺伝子赤い風
表札は父娘別姓秋日和
外はぱりっと中はふわっと冬日和
秋の海おおきなものが消えてゆく
散在もええねん老朽船の春
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『乙女ひととせ』vol.08は、同志社女子大学表象文化学部創作講義の作品集。今年から講義名が「クリエイティブライティング」に変更されたそうだ。講師は塩見恵介氏。受講生による作品のほか、「平成の名句鑑賞」「私が選ぶ!平成イチオシ句集」などのページもあり、令和のはじめに平成を振りかえった企画がならぶ。
ほとんどがはじめて俳句の実作をおこなう女子大学生であるが、現代の女子大学生に交じりながら時に発想を飛ばし、時にベタな笑いをひきおこす塩見氏の舵取りで、創作や鑑賞を楽しんでいる様子がよくわかる。
プールでは戦争にてのひらの銃 趙蘭
ごめんねは苺ミルクで総精算 西山萌花
お人好し鎖骨で金魚を飼う季節 松本志穂
クリスマスゼミの教授がサンタさん 加藤雅
秋の夜ちょっと火星へお買い物 松宮静香
コスモスをいつか見下ろす日が来たら 辻田真波
たんぽぽを咲かせて天と地の和解 塩見恵介
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