2019年1月20日日曜日

2018年のお仕事まとめ


角川『俳句年鑑2019年版』にて、
  • 年代別二〇一八年の収穫三〇代 孤独を力として(執筆:鳥居真里子氏) 
  • 今年の評論Best 7 「読み」の問題を中心に(執筆:岸本尚毅氏) 
にとりあげていただきました。

年鑑というのは活躍著しい作家ばかりが掲載されるものだと思っていたので驚きましたが、それなりに若い頃から続けているとこういうこともあるのですね。
鳥居さん、岸本さん、ありがとうございます。

特に岸本さんは、大学の紀要に掲載した小文(「創作・鑑賞をふまえた俳句の授業―扉としての俳句」『同志社国文学』87号、2017年12月20日)に目を留め、Best7以外の「力作」としてとりあげてくださいました。
俳句を読み、論ずる事の面白さに対する理解が広まったことを感じさせる。(同、p.217)
との評言は正しくその通りで、古き「第二芸術論」観からの新しい展開を示唆しているところも共感しました。「第二芸術論」に対する反発でなく、改めて「読み」の問題として、兜太「造型俳句」を超えた現代俳句論が望まれるところ。



『新興俳句アンソロジー 何が新しかったのか』(ふらんす堂、2018)

がついに発刊されました。
上の現代俳句協会特設ページからお申し込みいただくと、定価2400円+税+送料のところが、送料込み2500円になります。 602円ほどお得。
1月末までなので、おはやめに。

現代俳句協会青年部メンバーとして、編集・執筆に関わらせてもらいましたが、新興俳句の作家44人の評伝と100句抄に加え、13項目のコラムをそろえ、実に53人もの執筆者がかかわってできました。ほとんど小辞典のような趣です。
私は、「天の川」を創刊・主宰した吉岡禅寺洞(1889~1961)を担当しました。新興俳句の旗手として、「馬酔木」の甘美、「天の川」の晦渋、と評され、無季、自由律、口語など表現を開拓。門下に芝不器男、横山白虹、神崎褸々などを輩出しました。戦後も口語俳句を追及しますが、現在では言及されることの少ない作家です。
拙稿では禅寺洞の戦前戦中の動きを中心にまとめました。
(参考:【俳句時評】 禅寺洞から遠く離れて/外山一機

執筆者が多いこともあって、企画から3年半ほどもかかってできた本。書き手は10代~40代まで(企画中に50代になった人がいるか?)で、それぞれ作家に対するアプローチも違っていて、若手評論家アンソロジーとしても楽しめそう。
紙数の問題で参考文献掲載などが充分でない点、今後のためには残念なところもありますが、新興俳句の作品を一覧するという意味で、はずせない一冊になると思います。



川嶋健佑制作『つくえの部屋』3号(2018.12)の「現代作家の研究 新・現代の大家論」で、長谷川櫂論を執筆しました。
現代の大家をどこに定めるか、は人それぞれの基準があり、逆に言えば、大家の基準がはっきりしないのが現代なのかもしれませんが、それぞれの作家がそれぞれの観点から論じています。もうひとつの特集「新人賞の時代」とともに、結構攻めた企画です。
拙稿は、以前『船団』114号(2017.9)に書いた長谷川櫂論の続きという位置づけで、充分に準備して書いたものではありませんが、ご高覧たまわれば幸いです。
上記、川嶋くんのHPから注文できるほか、一部書店にも流通するようです。



船団の本も、2冊刊行。
船団の会『船団の俳句』(本阿弥書店、2018.03)は船団会員67名の作品と作家評をまとめたアンソロジー。坪内氏のまえがきを引きます。
 近年、いろんなところで、「船団の俳句は・・・である」という言い方に出会う。・・・に入るのは、軽薄とかむちゃくやとか現代的とか。いずれにしても、否定的というか非難のニュアンスがある。 もっとも、それは船団的だな、などと言われると少しうれしい。特色が出ている、ということだから。
「~調」というのが話題になったこともありました。曰く、澤調、オルガン調。
しかし、その「~調」がグループの特色だとすれば、それはグループである以上はある意味共通性があるのは当たり前で、もちろん一人の作家としてそこからどう脱するかは課題であるにせよ、そこだけを批判しても始まらない。その表現が何をもたらし、なにを閉じるのか。そこまで言及しなければ、俳句論としては未完成でしょう。
というわけで、一口にまとめられがちな船団の俳句を一覧できる一冊です。

もうひとつ、『朝ご飯と俳句365日』(人文書院、2018.10)は、人文書院のエッセイ+俳句シリーズ第三弾。
船団は、正岡子規の「病床六尺」に倣って食事をテーマにすることが多いのですが、船団メンバーが、365日、朝ご飯に関する小エッセイと俳句を綴った本。
私は7月11日と1月5日を担当していますが、この間の生活の変化が如実に反映されています。

参考:
大井恒行の日日彼是 坪内稔典「たんぽぽのぽぽのあたりが火事ですよ」『船団の俳句』より
大井恒行の日日彼是 坪内稔典「習さんは三軒隣り水温む」『朝ご飯と俳句365日』


その他、俳句関係のお仕事まとめです。

作品

「ヒト科」 東京四季出版「俳句四季」9月号、精鋭16句(35巻9号、2018.09)

評論・エッセイ

「俳句時評98回 私たちの俳句」『詩客』2018年6月9日号

「松本てふこ小論 分断を超えて」『俳壇』6月号(35巻7号、2018.06)

「特集・平成の暮れに 俳句甲子園のもたらしたもの」毎日新聞出版『俳句αあるふぁ』2018年秋号(通巻167号、2018.9.14)


その他イベントなど

第26回現代俳句協会青年部シンポジウム「俳句の輪郭」司会、2018年4月22日、会場ゆいの森あらかわ(東京)

「週刊俳句」586(2018.07.15)久留島元まるごとプロデュース号

関西現代俳句協会青年部勉強会「句集はどこへ行くのか」司会、2018年7月21日(土)、梅田パシフィックビルディング6FB室

オルガンミーティング大阪 オルガン14号刊行記念トークショー&公開句会、司会、2018年7月22日(日)、梅田 蔦屋書店主催/関西現代俳句協会青年部共催

現代俳句協会青年部勉強会「戦後俳句を聞く(1) ~坪内稔典と片言の力~」聞き手2018年12月23日(日)、柿衞文庫

昨年は思いがけず、いろいろなお仕事に巡り会いました。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。

亭主拝

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