2009年12月25日金曜日

新撰21竟宴

 
行ってきました東京。

騒いできました竟宴。


お昼に東京に到着し、山口優夢、江渡華子、佐藤文香、の各氏に初対面の西村麒麟さん(「古志」所属!)と合流。会場近くの市ヶ谷に移動し、かるく昼食。初めましての人とは初めましてのご挨拶をし、数年ぶりの人とはお久しぶりの挨拶をしました。
ご飯を食べながら、本日のシンポジウムに出席する佐藤・山口両氏が予習しているのを横から茶々を入れつつ鑑賞。文香氏が思った以上に外山氏論考に違和感を持っているのを興味深く思う。優夢氏はぴっちりしたスーツに身を包んでいたためバームクーヘンとかボンレスハムとかむちゃくちゃに言われていた。(俺も言ったけど)
そのあと、神野紗希さん、高柳克弘さんたちも合流。M-1を研究会で見逃した話をしたら、紗希さんがyou tubeでの探し方を指南してくれた。案外オンラインな住人なんですね、そりゃブログチェックもしてるはずだ、とか、思う。紗希さんと江渡ちゃんは前日呑んでいたそうで、若干二日酔いだそう。

あーだこーだ言いながら会場入りし、受付をすませて、名札を附けてもらう。
谷雄介氏がまめまめしく働いていて、社会人オーラに圧倒される。
会場はすでに大盛況。シンポジウム資料と当日参加者の一覧をいただく。


シンポジウムは三部仕立て。内容についてはこれからおいおい書かせて貰うことにして、ざっと流れだけ。
第一部は「新鮮21検討 『新撰21が映す現代とは何か」。
筑紫磐井、池田澄子、小澤實の三氏から、21人へのエールを送られる。続いて執筆者のなかから北大路翼、松本てふこ、谷雄介、村上鞆彦の四氏が指名されて壇上にあがり、三人とかるいディスカッション。
楽しんで読んで貰える俳句を作る、と断ずる北大路氏。北大路論を任されて「下ネタ枠だな!」とガッツポーズを決めたという松本氏、……だけでなく、『新撰21』の人選について、東京にいたらいつも会えるメンバーだ、と鋭く批判していた松本氏。褒められて俳句をやるのは悪いことではない、と言ってのける谷氏。筑紫氏の仮想敵宣言に対し、自分に対して無季俳句を作る可能性を許容したくないだけですよ、と穏やかに大人な対応をしてのける村上氏。
また、北大路氏の俳句に対して池田澄子氏が「詠むものではなくヤルものでしょ!」と爆弾発言。イケスミさん、さすが!
すでに充分面白げな展開は見せていたが、時間は充分ではなく、第二部へ。


休憩中、ネット上などでお名前ばかり知っていた方々にご挨拶など。名刺交換しながら「ブログ見せて貰ってます」「あー、あなたが…」みたいな会話。まるで壮大なオフ会ですね。 上田信治さん、田嶋健一さん、橋本直さんなどにもお会いできました。

第二部は「パネルディスカッション 今、俳人は何を書こうとしているのか」
パネラーに相子智恵、関悦史、佐藤文香、山口優夢氏、司会に高山れおな氏。
外山氏の論を誘い水にした「形式の問題」、相子氏、高柳氏らの論をふまえた「自然の問題」、神野氏の論から「主題の問題」のみっつのテーマについて。
すでに各ブログで紹介されていますが、関氏のナイアガラのような怒濤トークに圧倒されました。すごい早口で一切立ち止まることなく、しかも厖大な情報量を的確に整理して一気に語ってくださるので、ほんの数秒聞いているだけでもIQが上がったような心地に浸れます(笑。でも、あんなによくわかる金子兜太論、吉本隆明論ははじめてでした。今後参考にしよう。
弁士・関の出現にばかり耳目を奪われましたが、ほかの三氏からも非常に興味深い発言がちらほら。あくまで実作者として丁寧に自身の言葉で語る佐藤氏、山口氏の両名が大変結構でした。
主題の問題では、山口氏が「主題というのは批評家が見出すモノではないか」と発言。なるほど。
ただ、聞いていて思ったのは、方法論的主題(取り合わせ。とか、季題。とか、生理感覚とか。)と、テーマとしての主題(戦争。とか、人間探求。とか)って、一緒に扱っていいのかな?という疑問。うまく言えませんが。

俳句のシンポジウムは、実作者のレベルで語るのか、実作を離れた批評家として語るのか、それで少しブレが起きるような気がします。以前の「船団」シンポジウムでは議題が「百年後」と誰にとっても第三者的な話題だったのであまり目立ちませんでしたが、今回はそのあたりで混乱があったような。
いずれ、もう少し考えて書きます。

第三部は対馬康子氏を進行役に、フロアから自由発言を求める企画。
対馬氏の指名で高柳氏、神野氏のふたりがアシストについていましたが、なんだか断片的でもやもや感が残る結果に。
すこし盛り上がったのは、中本真人氏から「師選を受けたかどうか」「結社に入っているかどうか」などの質問が出たこと、それに対して富田拓也氏から現代詩などを例に挙げて必ずしも結社や師を持つことがいいと思わない旨の回答があったあたり。佐藤氏や越智氏のように結社に入らずに師事する俳人がいる場合や、藤田哲史氏など「大事な句は外されないよう師匠にも見せない」脱力系結社人がいること、などが明らかとなる。
そのほかは……西村我尼吾氏の演説とか、いろいろありましたが、正直、対馬氏の指名が非常に意図的な気がしてあまり楽しめず。いまさら第二芸術論でもないでしょうし。全体的に、俳句芸術派系、とでもいえばいいのか、現代俳句系な発言が目立ち、違和感を持ち続けていました。このあたりももう少しまとめてから書こうと思いますが、東京でのアウェイ感、というのは、今回の隠れた収穫のひとつです。この感覚は実際味わってみて、その正体を見極めてみないといけないと思いますね。


懇親会でも引き続き名刺交換。
で、今回の大収穫。
新撰21人のサインです。懇親会にいらっしゃった方からはたぶん全員頂いたんではないでしょうか。18人、プラス一人。装丁の間村さんにも、村上さんから紹介をいただいて書いてもらっちゃいました。
サインだけ観ててもなんだか人柄を偲ばれるのはなかなか楽しいですね。
これ、非常な価値モノです。
懇親会の最中に不躾なお願いに応えてくださった皆さん、ありがとうございました!!
宴は二次会、三次会へ。日付の変わるあたりまで、わいわいがやがや。二次会では小澤實氏、櫂未知子氏ともおはなしさせていただきました。
宿はすぐ近くだったので、最後まで楽しませて貰いました。



若手に限らず、こうした結社をはずした交流会というのは、非常に大事なんではないでしょうか。「俳壇」なんて結局ちょっと昔からあるといってもミクシィのコミュニティとあまり変わらないようなもんで、たまにオフ会くらいして交歓しないともっと小さなコミュに閉じこもってるばかりでは面白くないと思います。そーゆー当たり前のことを再確認した点でも、参加した甲斐はありました。

東京の皆さま、たいへんお世話になりました。


総括。
今回の表の主役は、「関悦史」。
そしてたぶん、裏の主役は「長谷川櫂」。
まったく関係ないのにしばしば名前があがったのが、金子兜太と長谷川櫂の両氏でしたが、全員が否定的に語っていたという点で長谷川櫂氏の独特な立ち位置、そしてこのイベント全体の立ち位置も見えてくるように思います。

(続く)
 

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