2014年9月30日火曜日

俳句ラボ

10月から、久留島の担当です。

若手による若手のための俳句講座「俳句ラボ」

関西在住の若手俳人 塩見恵介、杉田菜穂、久留島元の各講師が、俳句の作り方や鑑賞の方法などについてわかりやすく、楽しく教授。魅惑的な俳句の世界へエスコートいたします。句作の経験が無くても大丈夫。実作を中心に実践的な句会を体験していただく、ユニークな内容も予定しております。ぜひお気軽にご参加ください。
  •  対象:49歳以下で俳句に興味がある方ならどなたでも。 
  •  内容:各月の第2日曜日(ただし6月は第4日曜日)、午後2時~午後5時 
  •  ガイダンス(6月22日 全講師参加予定)    
  1. 基本を学ぶ(7月13日・8月10日・9月14日 講師:杉田菜穂) 
  2. 詠む読む俳句(10月12日・11月9日・12月14日 講師:久留島元) 
  3. どんどん作って上達(平成27年1月11日・2月8日・3月8日 講師:塩見恵介)
      ※初回のガイダンスは、無料でご参加いただけます。
      ※受講者は、講座終了時に作成する作品集(講師、受講者の作品などを掲載予定)に作品をご掲載いただけます。
  • 受講料:
      1、2、3すべて受講:5,000円
      1、2、3いずれかを受講:1テーマにつき2,000円
      6月のガイダンスは無料
  • 問い合わせ・申し込み:
      電話(072-782-0244)で公益財団法人柿衞文庫まで
  • 公式HP(http://www.kakimori.jp/2013/04/post_185.php

1の杉田先生は俳句の基本の知識をしっかり講義されましたが、
2の久留島は、作句したり、関西ゆかりの俳句を読んだり、ともかく「俳句を楽しむ」ことを目標にしていきます。

初心者の方も、ひさびさに再開という方も、句会がなくて探している意欲的な方も、おしなべて歓迎。
どうぞよろしく。

初日は、10月12日です。


第11回鬼貫青春俳句大賞募集(11月12日(水)必着)

芭蕉(ばしょう)とほぼ同じ時代を生きた上島鬼貫(うえしまおにつら)は、10代からさかんに俳句を作り、自由活発な伊丹風の俳句をリードしました。
柿衞文庫では、開館20年を機に今日の若い俳人の登竜門となるべく「鬼貫青春俳句大賞」を2004年から設けました。みなさんの作品をお待ちしています。
●募集要項●
 ☆応募規定・・・俳句30句(新聞、雑誌などに公表されていない作品)
 ☆応募資格・・・15歳以上30歳未満の方(1999年生まれから1985年生まれの方)
 ☆応募方法
  ● 作品はA4用紙1枚にパソコンで縦書きにしてください。
  ● 文字の大きさは、12~15ポイント。
  ● 最初に題名、作者名、フリガナを書き、1行空けて30句を書く。
   末尾に本名、フリガナ、生年月日、郵便番号、住所、電話番号を書く。
  ● 郵送またはFAXで下記まで。
    ※応募作品の訂正・返却には応じません。
    ※応募作品の到着については、必ずご確認くださいますようお願いいたします。
    ※応募作品の著作権及びこれから派生する全ての権利は、(公財)柿衞文庫に帰属します。
    ※個人情報は、表彰式のご案内および結果通知の送付に使用し、適正に管理いたします。
     また、柿衞文庫の事業のご案内をさせていただくことがございます。

      公益財団法人 柿衞文庫(こうえきざいだんほうじん かきもりぶんこ)
       〒664-0895 伊丹市宮ノ前2-5-20
              電話/072-782-0244  FAX/072-781-9090

 ☆応募締切・・・2014年11月12日(水)必着
 ☆選考・表彰・・・2014年12月6日(土) 午後2時~5時
            於 柿衞文庫 講座室(兵庫県伊丹市宮ノ前2-5-20)

  ● 下記選考委員(敬称略)による公開選考 [どなたでもご参加いただけます。]
     稲畑廣太郎(「ホトトギス」主宰)
     山本純子(詩人)
     坪内稔典(柿衞文庫 也雲軒塾頭)
     岡田 麗(柿衞文庫 副館長)
     (社)伊丹青年会議所 理事長         以上5名(予定)

  ● 賞
     大賞1名〔賞状、副賞(5万円の旅行券)、記念品、「俳句」誌上に受賞作品を掲載予定〕
     優秀賞若干名〔賞状、副賞(1万円の旅行券)、記念品〕

     

主催 公益財団法人 柿衞文庫、也雲軒
共催 伊丹市、伊丹市教育委員会(予定)
後援 伊丹商工会議所、伊丹青年会議所、株式会社 KADOKAWA(予定)



2014年9月28日日曜日

短評:『池田澄子百句』


近刊『池田澄子百句』(創風社出版、2014)のあとがきで坪内稔典は次のように書く。
池田澄子が俳句に関心を持ったのは三十代のある日、そして俳句雑誌に初めて俳句を投じたのは一九七四年三十八歳の時だったという(本書掲載の「池田澄子略年譜」)。そのときの句は、 
 死ぬ気などなくて死に様おもう秋 
であったというが、この句からいわゆる澄子の代表作、たとえば
  じゃんけんで負けて蛍に生まれたの
 
 生きるの大好き冬のはじめが春に似て 
 ピーマン切手中を明るくしてあげた 
までの距離は遠い。遠いというより、とてつもない飛躍を澄子は果たした、というべきだろうか。・・・(略)・・・「死に様おもう」から「生きるの大好き」への変換、そこに澄子の大飛躍の秘密がある、と私は思っている。  
                 坪内稔典「あとがき」『池田澄子百句』 

興味深く思ったのは、私の脳裏に、池田澄子が塩見恵介の句を評した、次のような言葉が刻まれていたためである。
「今日自殺決意す・死ねず・鳩を飼う」(勝手なことを言えば、「死なず」と言って欲しいところ)
これは塩見恵介の第一句集『虹の種』に付された栞に寄せられた文章。
もう少し正確に引けば、「議論終え湯豆腐あつししかし食う」と「今日自殺決意す・死ねず・鳩を飼う」に「共通した展開の捩れ」を指摘した文章である。

「死ねず」という言葉には、死を願うふりをしながら結局その勇気を持てない、敗残者としての自嘲がある。
「死なず」の強靭で意志的な男性像は、なるほど人生観としては好ましいが、「鳩」に配する人物としては、不釣り合いだろう。
無気力で成り行き任せな、自己愛と憂愁にある青年像として、やはりここには「死ねず」が相応しく、「鳩を飼う」行為の奇妙さへ、捩れながらつながっていく。
「・」記号による句切れなどの視覚的な効果も含め、塩見の一句は、技巧的な展開力によって類型的な青年像を脱している。むしろ池田の評言こそ類型的な人生訓に似かねない。
だがこの不適当な評言は、その不適当さによって、印象的なものとなっている。

「死なず」、「生きるの大好き」なのが、池田澄子なのだ。

  屠蘇散や夫は他人なので好き
  いつしか人に生まれていたわ アナタも?
  青嵐神社があったので拝む
  八月来る私史に正史の交わりし

池田句の健全さは、ともすればおちいりがちな文学的ポーズや、説教臭い人生訓から、あやういところでまぬがれる。
きわめてメッセージ性のたかい句でありながら、それを固定させない、広やかな地平に、一句が屹立していく。
現代俳句の「広さ」を、もっとも体現する作者の一人といえよう。



『池田澄子百句』は坪内稔典と船団メンバー5人(中之島5*)の編集。

文庫サイズの手軽な入門書として定評のある創風社出版の「百句」シリーズの最新刊である。

発表の句集5冊から編者によって厳選された100句について、船団メンバーによる鑑賞が付されている。初出の句集名が明記されているのも便利。
池田澄子俳句については、先に『シリーズ自句自解Ⅰ ベスト100池田澄子』(ふらんす堂)があるが、作者による自解と読者の立場からの鑑賞とを見比べてみるのも楽しいかも知れない。

軽便なイケスミ・ワールドの入門書として、おすすめである。

注文はこちら。http://www.honyaclub.com/shop/g/g16468359/



* 「坪内稔典の俳句塾」(朝日カルチャー中之島)受講生5人。香川昭子、久保敬子、芳賀博子、陽山道子、山田まさ子の5人。芳賀さんは「船団」誌上に連載をもつ川柳人だが、正式には会員ではないそうだ。